丸山九段による将棋講座

4月29日に東京将棋会館で行われた丸山九段の将棋講座「角換わり、対棒銀の戦い」に参加しました。
その模様を簡単にお伝えします。
講座は約1時間30分、定員40名でしたが全席埋まっていました。

丸山九段「休日の貴重なひとときを講座に充てていただきありがとうございます」と冒頭で挨拶。
さわやかです。さわやか流です。

講座は、1.△6一金型、2.△5二金や△4二金型、3.相手が仕掛けてこない場合の3パターンについて方針や狙い筋の解説、実戦例の紹介といった形で進行しました。

それでは講座の内容に移ります。最初は△6一金型について(第1図)
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▲9五同歩△同銀▲同香△同香に▲9七歩が基本の対応。代えて▲9四歩については「古い定跡書だとこの手も書いてあるかと思いますがおすすめしません」とのこと。
▲9七歩以下、△9八歩▲8八銀で第2図
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(1)△8六歩▲同歩△同飛には▲8七銀とします。▲8七銀△8二飛▲9八銀△8八歩には飛頭に歩を叩いて▲9四角のラインに飛車を入れれば大丈夫です。
(2)△9一香(本譜)には▲3七桂△9七香成▲同桂△同香成▲2九飛として次の▲4五桂から5三を狙います。
△6一金型の場合は、▲9四角のラインのほか、5三の地点が急所となります。

また、棒銀が端から仕掛けてきた場合の方針としては、「駒を蓄えて攻め合いを目指す」ことが挙げられます。
皆さんも経験があるかと思いますが、棒銀の攻めはしつこいです。しかし、攻め自体に破壊力はないので先手は攻め合いを目指すのが有効です。といっても、先手は飛車が働いていないので攻め合いをするためにも、まずは駒を蓄える必要があります。

以上を踏まえて実戦例を見ていきます。
第2図から少し進んだ局面が第3図。△3二金は▲2二角を防ぐため。▲2二角の目的は香車や桂馬を拾って駒を蓄えることです。
△3二金には▲5六香と5三の地点に殺到する手を見せました。
3ず

さらに進めます。ここで次の一手を2問。
第4図は中盤戦の大事なところ。先手の持ち駒が少ないので、ここで良い手を出さなければいけません。
4ず

終盤に入った第5図。ここでも駒を蓄えるというのが鍵になります。
5ず


・・
・・・
・・・・
では正解発表です。
第4図は▲8五歩。角の退路を断つだけに指しにくいですが、次に▲7一銀と打つと飛車を取ることができます。飛車を取るのも大事な方針の1つです。
第5図は▲8二銀成。△同金▲6二飛から金桂を拾って駒を蓄えるのが狙いです。

以上で第1の△6一金型は終わりです。

次に第2のパターン、△5二金や△4二金型の場合(△6一金型でないとき)です。
第6図は後手が端から仕掛けたところ。今度は▲6一角と打ちます。以下、△9八香成▲8三銀△6二飛▲7二角成から飛車を取りにいきます。後は飛車を下ろして成銀を相手玉に寄せていくようなイメージ。
6ず

最後のパターン、後手がなかなか仕掛けてこない場合(第7図)。プロで棒銀といえばこの形が主流です。
7ず

この場合は▲4五歩△同歩▲同桂△4四銀▲4六歩とし、次の▲2四歩や▲3五歩が狙い筋。
先手の成功例を示すと▲4六歩以下、▲3五歩△同歩▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲4四飛△同金▲7一角となれば成功です(第8図)
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実戦例は▲4六歩に対し△6四歩(▲3五歩に△同銀の用意)▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2九飛△7五歩▲同歩△同銀▲7六歩△8四銀▲3五歩△同歩▲1五歩△同歩▲3三歩△同桂▲同桂成△同金寄▲4五桂△4三金寄▲7一角と攻めていきました(第9図)
9ず

以上で、講座は終わりです。
ポイント
・棒銀は攻め合いに弱い。先手は持ち駒少ないので攻め合いにするために持ち駒を増やす
・後手の右金の位置(△6一金かそれ以外か)と、後手の待機策のときの狙い筋の理解

「今日やったことは武道の型のようなもの。そこから自分の形ができていけばいいと思うので、それを勉強していってください」と丸山九段がまとめて講座は終わりです。最後に5名の方に丸山九段の色紙が当たる抽選会をしましたが、私は外れました・・・

丸山九段が講座で使っていた冊子をもらいました。中身は3つのパターンの局面図および参考棋譜のざっくりしたものになっています。
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<参考棋譜>
1.平成5/5/11 竜王戦 ▲丸山五段△中田宏六段
2.平成6/4/23 早指し新鋭戦 ▲丸山五段△中田宏六段(棋譜でーたべーすに棋譜なし)
3.平成8/5/22 王位戦 ▲丸山六段△森下八段

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